ニキビ
Acne
ニキビについて
ニキビは、毛穴の細菌感染で種類がたくさんあります。「目に見えない毛穴つまり→白ニキビ→黒ニキビ→赤ニキビ→瘢痕・ニキビ跡」というように進行していくため、各段階に応じて治療を行います。それぞれの段階で改善できないと、繰り返しニキビが出てきたり、ニキビ跡となって残ったりします。ニキビのできやすい肌質という方は、根気強く治療を継続していくことが大切です。
ニキビの種類
白ニキビ
毛穴に皮脂が溜まった状態で、まだ炎症が起きていない段階です。白ニキビはごく初期のニキビで比較的容易に治癒できます。白ニキビは触ったり、潰したりすると炎症が悪化するため、刺激しないよう注意しましょう。白ニキビができたら、正しいスキンケアを行い、肌を清潔に保つことが大切です。洗顔は、しっかり泡立てて丁寧に優しく行い、生活習慣は規則正しく、食事は栄養バランスよく摂りましょう。主な治療は、毛穴の詰まりを取り除くために、アダパレン(商品名 ディフェリンゲル)や過酸化ベンゾイル(商品名 べピオゲル)アダパレンと過酸化ベンゾイルの配合薬(商品名 エピデュオゲル)を、ピーリング石鹸などを適宜使用したものになります。これらの治療は保険適用にて行えます。 また、肌荒れの改善に向けて、自費にて、ピーリング石鹸によるお手入れや、超音波クレンジングで毛穴の汚れを除去し、ピーリング治療によって余分な角質や汚れを取り除き、レーザー治療で毛穴の汚れや毛穴の拡大、皮脂腺に対する治療なども、患者様の症状やご要望に応じて行っております。
黒ニキビ
白ニキビに溜まっている皮脂が空気に触れると酸化します。酸化すると黒くなります。黒ニキビの段階では炎症はしていませんが、強い刺激を与えると毛穴が開いて細菌が侵入してしまい炎症がひどくなってしまうことがあります。このため、黒ニキビは無理やり刺激を与えないことが重要です。 主な治療は、保険適用では白ニキビと同様で、アダパレン(商品名;ディフェリンゲル)、過酸化ベンゾイル(商品名;べピオゲル)アダパレンと過酸化ベンゾイルの配合薬(商品名;エピデュオゲル)、自費ではピーリングを使用したり、レーザー治療 をした治療になります。
赤ニキビ
黒ニキビがさらに進行すると、炎症が起こります。赤ニキビまで進行すると、痛みやかゆみが現れます。炎症を起こす原因菌であるアクネ菌は、毛穴に詰まった皮脂を栄養としています。押し出されたものが膿となって炎症をさらに悪化させてしまいます。赤ニキビは、ニキビ跡となって残りやすいため、決して触らないように注意しましょう。赤ニキビがひどくなると、化粧品もニキビを悪化させてしまうため、基本的にはメイクをされないことをお勧めします。治療としては、炎症を抑えることが重要です。赤ニキビの治療は、保険適用でできるもの、自費診療になるものがあるのですが、保険治療では塗り薬だけでなく抗生物質などの処方を適宜行っていきます。自費診療では、ピーリングやレーザー治療を行っていきます。
黄ニキビ
赤ニキビが進行すると、黄色い膿が溜まってきます。黄色ニキビは、毛穴が化膿した状態で、ニキビの最終段階になります。膿を出したくなるかもしれませんが、黄色ニキビを触ったり、潰したりするのは止めてください。潰してしまうと、肌の深部で細菌感染してしまい、深くダメージが及んでニキビ跡となり残ることがあります。まずは、膿と炎症を抑制する必要があります。黄ニキビはスキンケアなどセルフケアでは完治できません。黄ニキビの膿や炎症を鎮めるには、塗り薬のほかに内服薬や漢方薬、抗生物質の内服などの適切な治療が必要です。
瘢痕・ニキビ跡
早期に治療せず進行してしまうと、ニキビ自体の炎症や痛みがなくなっても、赤みが残ることがあります。ニキビ跡の赤みは時間がたつと消えることが多いですが、残る場合もあるため、ニキビになったら、症状が軽いうちに治療を開始する必要があります。なお、デコボコとしたニキビ跡、瘢痕は残ってしまいます。 当院では、レーザー治療であるエコツーエボリューションに対応しています。お気軽にご相談ください。
ニキビができる原因
ニキビは、毛穴の皮脂が詰まってアクネ菌(原因菌)が増殖することが原因でできます。アクネ菌が増殖する主な要因として、皮脂の分泌過剰、ターンオーバーの乱れなどがあります。また、ニキビのできる場所により考えられる原因が異なります。
おでこ(額)からこめかみ
額にニキビができやすいのは、皮脂分泌が活発な部位であることと、毛髪の汚れが付着しやすいこと、整髪料が付着しやすかったりシャンプーなどの洗い残しがあったりすることが原因となります。さらに、10~20代の思春期にはホルモンバランスが乱れやすく、皮脂分泌を活発になるためニキビが多くみられる傾向にあります。
眉間から鼻(Tゾーン)
顔の中でも、眉間から鼻にかけての部分、通常"Tゾーン"と呼ばれる領域には皮脂腺が最も多く存在し、そのためにニキビが発生しやすい場所となります。Tゾーンにできたニキビは目立つことが多いため、ついつぶしてしまいたくなるかもしれませんが、この行為は炎症を悪化させる原因となります。そのため、できたニキビに無理な刺激を与えないようにしましょう。
頬
頬にはTゾーンほど皮脂腺が多くないため、ニキビが発生しにくいと思われがちです。しかし、頬にもニキビができる原因が存在します。これらの原因には、乾燥による肌のバリア機能の低下、ホルモンバランスの乱れ、不健康な生活習慣が含まれます。頬にニキビができるとメイクなどで隠したくなるかと思いますが、ニキビを隠すためにメイクを施したり、ニキビを潰すことは避けましょう。逆にニキビ跡のリスクを高める可能性があります。
顎・フェイスライン
顎やフェイスラインにできるニキビは、大人になってからも頻繁に見られます。これらの部位のニキビは、マスクやマフラー、タートルネックなどの衣類による摩擦が原因であることもあります。また、顎周りのニキビは、ホルモンバランスの乱れに影響を受けやすく、その結果、ニキビが発生しやすくなります。特に男性の場合、ホルモンバランスの乱れや髭剃りによる刺激で顎周りのニキビが見られることがあります。
首からデコルテ(胸部)
首からデコルテ部分は、多くの皮脂腺を含むため、ニキビができやすい部位です。特に、ホルモンバランスの乱れ、活発な皮脂分泌、毛穴の詰まりなどがニキビの発生を促します。この部分の皮膚はターンオーバー(皮膚の更新プロセス)が遅いため、ニキビができやすく、治りにくい傾向があります。 さらに、デコルテ部分で見られる症状の一つとして、マラセチア毛包炎(カビ菌感染)があります。これはニキビと似たような症状を引き起こすものの、異なる疾患です。マラセチア毛包炎は、高湿度の夏季や胸や背中の皮脂分泌が増加する場所で発生しやすく、ニゾラールなどの抗真菌薬などを使用して治療していきます。
背中
背中は皮脂腺が豊富に存在し、ニキビが発生しやすい部位です。衣服などで通気性が悪いことが原因の一つで、こうした環境では菌が繁殖しやすく、ニキビが発生しやすくなります。また、背中の脱毛処理が小さな傷を引き起こすことも、ニキビが発生する一因として挙げられます。 背中にできたニキビは、かゆみを伴うことがあり、外用薬を塗るのが難しい場所であるため、治癒に時間を要することもあります。また、胸部と同様に、背中の症状がニキビでなく、マラセチア毛包炎の場合もあるため、正確な診断と適切な治療が重要です。
ニキビからしこりになったら粉瘤?
大きなニキビが治ったと思った後に、しこりのような「粉瘤」が現れることがあります。しかし、ニキビと粉瘤は異なる疾患であり、治療法も異なります。
粉瘤(ふんりゅう)とは
粉瘤は、皮膚の内側に袋状のできものができる皮膚疾患です。別名アテロームとも呼ばれ、身体の皮膚表面のいろんな場所にできます。粉瘤は、皮脂や角質などの老廃物が皮膚内側に袋状に溜まってしまう状態です。1㎝弱の小さいものから10㎝近い大きいものまであります。粉瘤は、刺激により炎症性粉瘤となり腫れて痛みを伴うこともあるため、早めに治療をするようにしましょう。
ニキビと粉瘤の見分け方
サイズ
ニキビは通常数㎜程度の小さな腫れですが、粉瘤は進行するにつれて次第に大きくなり、数㎝以上に腫れ上がることがあります。
形
粉瘤は、皮膚の角質(アカ)や老廃物がたまってできる袋状のできもので、中心に小さな黒い穴があります。この穴周辺を指で軽く押すと、臭いのする白い内容物が穴から出てきます。また、粉瘤は非炎症性の状態では、触ると、コロコロと転がるように動くことも特徴です。小さい粉瘤と黒ニキビでは見分けが困難な場合がありますが、粉瘤の場合、周囲を押すなど刺激を与えると炎症性粉瘤に進行してしまうことがあるため、注意が必要です。見分けがつかず、気になる場合は、早めに当院までご相談ください。
ニキビを潰すと早く治る?
自己判断でニキビを潰しても早く治りません。ニキビを潰すことで、皮膚の深くまで傷つけてしまい、跡が残りやすくなります。赤いニキビ跡や凸凹したクレーター状の跡が残ってしまいますので、ニキビが気になる場合はお早めにご相談ください。
皮膚科で行うニキビ治療
保険診療の場合
ニキビは保険診療が可能であり、ニキビの進行度により外用薬のみや、外用薬と内服薬の併用など治療法が異なります。基本的には、朝の洗顔後は保湿剤、抗菌外用薬(ダラシン、ゼビアックス等)を塗って、外出時には日焼け止めクリームを塗りましょう。メイクをする際は、なるべく薄くすることもポイントです。夜は、洗顔後に保湿剤、アダパレン(商品名:ディフェリンゲル)や過酸化ベンゾイル(商品名:べピオゲル)などを塗った後に抗菌外用薬を塗布するようにしましょう。また、赤いニキビ跡や凸凹したクレーター状の跡が残ってしまいますので、ニキビが気になる場合は、「圧出」という処置が保険にてできますので当院までご相談ください。 ※圧出‥圧出は、ニキビ治療の一つで、毛穴の詰まりや炎症を改善するために、ニキビの頂点にレーザーで小さな穴を開け、専用の器具を用いてコメド(皮脂や角質の塊)を押し出す治療法です。
外用薬
ニキビの原因菌であるアクネ菌を殺菌する抗菌外用薬、ピーリング作用や毛穴詰まり改善作用がある外用薬、それらの合剤などがあります。外用薬により乾燥やかぶれが生じることがあるため、肌の状態を確認しながら治療を行います。 ※圧出‥圧出は、ニキビ治療の一つで、毛穴の詰まりや炎症を改善するために、ニキビの頂点にレーザーで小さな穴を開け、専用の器具を用いてコメド(皮脂や角質の塊)を押し出す治療法です。
ディフェリンゲル(一般名:アダパレン)
軽度から重度のニキビに幅広く対応するため、ニキビの保険診療で使用しています。ディフェリンゲルは毛穴の詰まりを改善できるので、ニキビの予防としても使用されます。使用方法は、1日1回夜、保湿の後にニキビができやすい箇所全体に塗布します。塗布後は、ヒリヒリ感やカサカサ感が起こることがありますが、ほとんどの方が2週間ほど使用していくうちこれに慣れていきます。なお、ディフェリンゲルを塗っている間は、日焼けクリームを塗るなど日焼け対策が必要です。また、妊娠中の方は使用できません。長期間にわたりディフェリンゲルを使用することで、毛穴の詰まりを改善し、ニキビができにくい肌を促進していくことができます。
ベピオゲル(一般名:過酸化ベンゾイル)
ベピオゲルには2.5%の過酸化ベンゾイルが含まれており、ニキビの原因菌を殺菌し、古くなった角質を除去するピーリング作用があります。また、ニキビの原因菌の増殖を抑える抗菌作用も備えています。ベピオベルは通常の抗菌薬と異なり、耐性菌の発生を抑制する特徴があります。そのため、ニキビの治療や予防だけでなく、肌の美化にも効果があります。 使用方法は、1日1回夜、保湿の後にニキビができやすい部位全体に塗布します。時折、かさつきや赤みを生じることがありますが、継続的に使用していくうちに慣れていきます。稀に強い刺激感や濃い赤みが出ることがありますが、これらの症状が現れた場合は、かぶれの可能性があるため、使用をやめてください。なお、ベピオゲルには漂白作用があるため、衣服に付くと色抜けが起こることがありますのでお気に入りの寝具はカバーをかけておくようにしましょう。
デュアック配合ゲル
1日1回ニキビとその周辺に塗る外用薬です。デュアック配合ゲルは、クリンダマイシン(外用抗菌薬)とべピオゲル(過酸化ベンゾイル)の配合薬です。角質の詰まりを取りながら炎症したニキビを抑えていく作用があります。ただし、クリンダマイシンには耐性菌が生じる可能性があるため、長期的に漫然と使用することは控えましょう。ベピオゲルと同様に、ジクジクとした赤みが生じた場合、かぶれの可能性があるため、使用を中止してください。また、漂白作用があるため、衣服に付着すると色が抜けることがありますので注意しましょう。
エピデュオゲル
ディフェリンゲル(アダパレン)とベピオゲル(過酸化ベンゾイル)の配合薬です。治療効果の高い薬剤の組み合わせなので、重症度が高い難治性のニキビ治療に有効です。ただし、副作用が起こるリスクも高いため、十分に注意して慎重に処方していきます。使用方法は、1日1回夜、洗顔後、保湿してからニキビのできやすい箇所全体に塗ります。他の薬剤よりも強く発赤や皮膚刺激症状が出ることがあります。それらの反応がひどい場合は使用を中止しましょう。なお、エピデュオは妊娠中の女性には使用できません。また、漂白作用があるため、衣服への付着には注意しましょう。塗っている間の日焼け対策も行いましょう。
ダラシンゲル・ダラシンローション(クリンダマイシン)
1日2回塗る外用抗菌薬です。ニキビの原因となるアクネ菌などに抗菌作用があります。赤ニキビや化膿したニキビに有効です。
ゼビアックスゲル・ゼビアックスローション
1日1回塗る外用抗菌薬です。化膿したニキビ以外にも「とびひ」にも有効です。
内服薬
赤く炎症のあるニキビが見られる場合、原因菌に対する抗菌薬や身体の内側から体質の改善を図る漢方薬の内服を提案することがあります。ニキビの症状が改善したら、内服薬の使用は終了します。まずは、2週間程度内服して効果を見ながら調整していきます。
ビブラマイシン(一般名:ドキシサイクリン)
ヒブラマイシン(ドキシサイクリン)は、ニキビの原因菌の増殖を抑える効果や炎症を抑制する効果があります。このため、ミノマイシンよりも副作用が少ないため、ニキビの内服治療薬として推奨されている薬剤です。
ミノマイシン(一般名:ミノサイクリン)
ミノマイシン(ミノサイクリン)は、細菌の増殖を抑える働きがあるため、ニキビの原因菌の増殖を防ぐ効果があります。さらに、炎症を抑制する効果もあり、耐性菌の発生を抑えるため、長期間にわたる内服治療にも適しています。ただし、副作用として下痢、めまい、および色素沈着が起こることがあります。
ロキシスロマイシン(一般名:ルリッド)
ルリッド(ロキシスロマイシン)は、アクネ菌を含む細菌の増殖を抑えるために細菌のタンパク質合成を阻止する薬剤です。その強力な殺菌作用から、アクネ菌によるニキビの治療に効果的です。ただし、この薬剤の副作用の一つとして、下痢が起こることがあります。
自費診療の場合
ニキビはほとんどの場合、保険診療で治療できます。ただし、改善が難しい重度のニキビや、迅速に治療したい場合などには、ケミカルピーリングやスペクトラ(スペクトラピール)、エコツーエボリューション(ウルトラパルス炭酸ガスフラクショナルレーザー)などの自費診療を提案しています。